3.11当日の満天の星を再現特番「星空とともに」博物館で投影
2011年3月11日、午後2時46分、東北を襲った未曾有の大災害「東日本大震災」。その夜、大停電の仙台上空には満天の星が輝いたという。極限状態の中、そんな星空を仰いだ人々の想いを仙台市天文台がまとめた特別番組が「星空とともに」だ。震災から3年、平塚市博物館では東日本大震災の記憶を風化させず、市民の防災に役立てることを目的に同番組を9日、11日の2日間にわたり投影した。
同番組は震災から1年後に仙台市天文台によって制作された。当時、自分たちに何ができるかを考えていた同天文台では、震災当日に星空を見上げ様々な想いを抱いた人が大勢いることを知ったという。天文台のスタッフすら「夜空を見て驚いた」と言わしめる程の震災当日の星空。「あの日の星空を再現するということは、震災を思い出すことではあるけれども、震災は決して忘れてはならない」と、天文台ならではの切り口で番組は制作された。
震災の夜に人々が体験した記憶は地元紙である河北新報などに手記、川柳といった形で寄せられていた。そういった星空の記憶を集め、約3カ月をかけて番組はつくられた。星空を見上げた人々が感じた希望や悲しみを切り取った同番組は平成25年6月、日本プラネタリウム協議会全国大会で発表されると、大きな反響をもって迎えられた。全国から投影希望が集まり、今年の3月11日を中心に全国10カ所のプラネタリウム施設で投影された。
同館学芸員の鳫 宏道さんも作品を大会で見て感銘を受け、「なんとか平塚で投影したい」と調整を続け今回の投影を実現した。当日は定員を大幅に超える人が集まり、3年前の夜空を追体験した。満天の星に希望を見いだした人、星の輝きに奪われた命を重ね、むしろ目を背けた人、様々な人間模様が交錯する夜空の記憶。鳫さんは「我々もいずれ同じ星空を体験することが考えられる。記憶を伝え、風化させない方法を考えていきたい」と話していた。
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