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ヘッドライン |2014.04.18

水源を守る「植林」地域に根付く金目エコの活動

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0418 1面 金目エコ_1
 平塚市を流れる河川のひとつ金目川は古くから飲料水や農業用水として重用されてきた。一方で見た目以上に急流で大きく蛇行する川は度々氾濫し、沿岸の住民に大きな被害を与えてきた。そのため江戸時代から大規模な治水を繰り返し、川との共存を図ってきた歴史がある。金目地区で地域の文化や自然を調査・研究し、地域の文化や遺産を守り、育てることで地域社会の発展を目指す「エコミュージアム金目まるごと博物館」(通称:金目エコ、米村康信委員長)では9日、そんな歴史を後世に伝えるべく、水源である春嶽山(秦野市蓑毛)での植林を実施した。
 平塚市上平塚で渋田川と合流し花水川として相模湾にそそぐ金目川は、大山南西春嶽山に水源をもつ。金目エコでは一昨年、歴史研究の一環で同山を訪れ実地調査を行った。近年では平成10年に市立みずほ小学校、翌年に平塚市漁業協同組合、さらに平成18年に金目川水害予防組合が植樹を行った。しかしそのすべてが順調に生育しているわけではなかった。この調査を元に金目エコでは、過去の歴史を追体験し金目川の水源を守る意志を未来へ繋ぐための補植を行うことを決めた。当日は関係者ら22人が春嶽山を登り、10本のブナを植えた。
植林の歴史
 春嶽山と植林の歴史は古い。春嶽山では明治29年頃から金目川の沿岸町村長の反対にも関わらず雑木林の乱伐が進んだ。結果として毎年のように洪水が起き、沿岸への被害は深刻さを増していった。特に明治43年、44年の洪水は未曾有のものとされ、2年間で一粒の米をも得ることができず郷土を捨てる人も多いといった惨状だったという。そこで自由民権運動家であった宮田寅治、森鑅三郎、猪俣道之輔らは沿岸住民363人の署名を集め治水工事を県知事に訴え、大規模な河川改修と耕地整理を実現させる。同時に抜本的な水害予防のためには水源である春嶽山への植林が重要だと考えた宮田らは土地所有者との交渉の末に地上権を取得し、全山への植林を始める。関東大震災や太平洋戦争での乱伐で再び山は荒廃したが、戦後、金目川水害予防組合が設立されると再び植林が進んでいった。その後、同組合は平塚・秦野・伊勢原の3市で組織されるようになり、ついには137haに及ぶ山林の所有権を取得。現在は同組合の委託を受け、秦野市森林組合が森林保全活動を行っている。
活動を未来へ繋ぐ
 植林自体は数時間で終わるが、植えられた木が育ち、森を形成するには長い年月がかかる。同時に活動を次世代へ伝える必要もある。むしろそれこそが活動の本質であり、目指すところでもある。植林活動を主導した池田 弘さんは「金目エコでは季節ごとのイベントなど植林に限らない多角的な活動を続けている。事業を通し地域に愛着を持ってもらうことが、間接的にでも植林の歴史を受け継ぐ手だてになる」と語る。
 構想から数え、金目エコは来年10年目を迎える。その活動は着実に地域に根を伸ばしている。
【写真上】斜面でクワをふるい苗木を植える
【写真下】
水源涵養林春嶽山の碑/記念標柱と当日の参加者

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