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ヘッドライン |2013.05.31

ホタルが住む学校富士見小で今年も飛び始める

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 草木の擦れ合う音が聞こえるほど静かな闇夜の中で、ほのかな光の点が揺れる。ここは「ホタルの森」という名のビオトープ(生物群の生息場所)。山里でも丘陵地でもない、平塚市立富士見小学校(石田美江子校長・児童数747人)の中庭にある。ホタルの放流が毎年4年生の「総合的な学習の時間」の中で継続して実施されている同校で、今年、6年目となる初夏の風物詩が舞い始めた。
ホタルを飛ばすことに6年連続で成功している同校は、初年度より一般への開放も行っており、今では「ホタルが飛ぶ学校」として地域で定着している。開放期間中は日に100人以上が訪れるという人気ぶりだ。きっかけは、ひとつの教室に置いてあったひとつの水槽から。初めてホタルを目にした、至って純粋な子どもたちの夢から始まった。
夢の実現
 7年前、同校に赴任し4年生の担任を受け持った山口浩由教諭が教室に置いた水槽。そこには前任校から持ってきたホタルが入っていた。興味を示した児童らにホタルの説明をすると、「見たことない」。さらには、「飛ばしたい」という夢が生まれた。前任校の旭小学校でも同様の話があり、苦労して何とか実現した実績はある。井戸掘り、せせらぎ作り…と、自らの経験から、簡単にはいかないと知っている。それでもやはり、「子どもたちの夢は叶えてあげたい」
 元々、中庭には地下水を利用した池があった。ここをホタルが生息できる環境へと変える――。当時の校長・教頭に相談し「まずはできることから」と、理科・環境教育に助成を行う日産科学振興財団(現・日産財団)へと申請した。これが採択され、助成金でゲンジボタルと土を購入。10tダンプで運ばれてきた土は、児童らがバケツリレーで中庭まで運んだ。保護者と職員も協力し、約3カ月でビオトープは完成した。そして初年度、期待が大きくかかる中で、ホタルは舞った。同教諭は「感動も大きかったです」と振り返る。
飛び立ち
 これ以降同校では、4年生の授業にホタルを中心とした環境学習が取り入れられ、同校の特色ある授業として定着していった。引き継がれていくビオトープは毎年改良され、発展を続ける。人が入れるようにと木道が作られたり、隣接する校舎には遮光カーテンが取り付けられたり、井戸を掘り直したりと、その度に保護者・地域の協力があった。助成金を受けた回数は3回に上る。資料作成、申請、報告、発表…と、かけた時間は少なくない。全ては、子どもたちの夢を叶えるために。
 今年で6回目の舞いを見る。振り返れば多くの子どもたちがここでホタルを育て、そして巣立っていった。ある子は「自分たちが大人になっても飛んでいてほしい」と言い、またある子は「自分に子どもができたらここに通わせて、一緒に見に来たい」と言い、卒業していった。「将来的には、ホタルが自然に発生するようにできたらいいな、というのがみんなの願いです」と同教諭。いつか見た子どもたちの夢は、次へ、その次へと受け継がれていく。富士見小のビオトープ。毎年初夏になると、子どもたちの夢が舞う。
※一般開放は6/1(土)まで。
19:45~20:45。駐車場なし。

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